2.奈良にも県水環境保全条例の制定を
田中美智子議員 2002年は、国連の定めた国際山岳年・「山の年」です。1992年、ブラジルのリオで開かれた「地球サミット」で「アジェンダ21」が採択され、そのなかで、山岳地域の環境保護をめざす内容が盛り込まれました。これにともなって98年秋の国連総会でリオ会議から10年にあたる2002年の今年を、世界中で山について考え、行動するための1年にすることにしようと決まったのです。 奈良県は森林面積が県総面積の77%を占めている緑豊かな県です。しかし、三之公原生林の伐採問題やスーパー林道の建設、傷だらけの大台ケ原、大峯山脈の立ち枯れ、山間の水源地での産業廃棄物処分場やゴルフ場開発などさまざまな自然・環境破壊の問題が指摘されています。
このままでは、奈良のすばらしい自然環境が守れない、世界遺産が守れない、命の水が守れない、なんとかしなければという、声が高まっています。
奈良県勤労者山岳連盟は今年の1月、環境庁を訪れ、大峯山脈の弥山・八経ヶ岳周辺の針葉樹やオオヤマレンゲ、ブナなどの樹木の深刻な立ち枯れの状況を伝え、早急に総合的な調査を実施し、対策を立てるよう求めたと伺っています。申し入れに対して環境省の自然環境局国立公園課保護係長は立ち枯れの現状を示す写真のカラーコピーや、地図などを見て、「これだけ広い範囲の立ち枯れとは思っていなかった」、環境省としては大峯まで手が回らない状況である。近畿地区事務所では、大台ケ原の対策で手いっぱいの状態で、大峯まで着手できていない。酸性雨については長期的継続的調査が全国的にやられようとしているが、これに吉野熊野を重点地域として候補にあげている。酸性雨の全国的調査の結果が出れば、全省庁の対応となるかも知れない。総合的な調査については近畿地区事務所とも相談しながら両立してやっていけるように調整したい」とのことだったと伺っています。
「国際山岳年・山の年」を契機に、県として、山を守る活動をしているみなさんと、積極的に交流し、もっと情報や提案などが寄せられるようにし、山について考え、行動する輪が広がるよう、山を守るネットワークづくりに取り組んでいただくことを要望いたします。
さて、「川は森と海をつなぐ命の回廊」だと言われます。この命の水を汚染から守ろうと、今、県内市町村では、水源保護、自然保護の取り組みがすすんでいます。月ヶ瀬、山添村では、すでに水源保護条例が制定されており、奈良市でも要綱があります。今回、新たに天理市でも条例が制定され、御杖村もそうした動きになっています。産廃の不法投棄などがそれだけ、深刻になっている表れともいえます。
先日、奈良県勤労者魚つりクラブの皆さんと、吉野川源流の地、川上村の三之公川の調査に行きました。原生林が一面伐採されている山肌、業者が林道を作るために削り取った土砂が、そのまま捨てられ、土砂で川が埋まっているところもありました。つりクラブのみなさんは、数年前から川の姿をもとのように戻してほしいと訴えておられます。山岳会の方々は、1990年に最初の現地調査を行ってから、毎年調査を行ってきているそうです。「水源地村づくり構想」を打ち出した川上村の英断で、天然林が買い上げられ、保護されることになりました。しかし、残されているところがあります。何とか伐採を食い止め、ぜひ県にも買い上げて保護してほしいと訴えておられました。
三之公一帯は、トガサワラをはじめ、ツガ、モミ、コウヤマキ、ヒメシャラ、シャクナゲ、ブナなど、多様で貴重な原生林におおわれています。特に、トガサワラは生きた化石植物として、学術研究上貴重な資料になっており、現在、日本では、紀伊半島と四国の一部にの生育しているにすぎないそうです。
水環境の保全を考えるとき、水道水源の水質保全という観点だけでなく、広く自然環境や森林の保全、水辺環境の保全、さらに環境教育を含めた意識啓発など、総合的な水環境保全のための施策を推進する必要があります。
そこで、 生活環境部長に伺います。水環境の保全をはかるためには、奈良県としても、長野県が制定したような、「水」環境保全条例を制定し、その中で、県の取り組み姿勢を具体化していくことが、基本となると考えますが、このような水環境保全条例の制定についてどのようにお考えでしょうか。
大倉潔生活環境部長 清らかで恵み豊かな水環境の保全あ重要なものだと認識をいたしております。長野県の条例ですが、水環境の保全に関しまして総合計画の策定、水道水源保全地区の指定等を定めたものと承知をいたしております。本県におきましては、水道水源の保護に関する条例制定は、基本的には水道事業をおこなう市町村等が水源の状況や地域特性に応じて判断されるものと考えております。
次に、水環境保全の総合的な取り組みについてでございますが、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的として、平成8年に奈良県環境基本条例を制定いたしました。これにもとづき県環境総合計画により、諸施策を展開しているところでございます。さらに、重点的に取り組むべき施策の方向として、13年3月、策定をいたしました県総合計画後期実施計画において、清らかで豊かな水と共生する生活基盤づくりをリーデングプランの1つとして位置づけているところでございます。具体的な取り組みと致しましては、森林整備をつうじた水源涵養やうるおいのある水辺環境の整備、水質汚濁の防止のため吉野川マナーアップキャンペーン、大和川整流ルネッサンス計画推進など関係部局において取り組みをすすめているところでございます。また県民一人ひとりの日常での取り組みが肝要であります、県民の環境にやさしい取り組みをうながすための県民行動指針の作成や小学生にわかりやすい環境副読本の作成につとめているところでございます。奈良県環境基本条例、環境総合計画等々にもとづきまして、関係部局とも連携を図りながら水環境の保全に努めてまいりたいと思います。
田中美智子議員 私、三之公にいってきた話をさせていただきました。この三之公川の土砂が、とにかく作業道がつくられ、川に落とされっぱなしということで、川が汚れるということで心を痛めておられる釣りクラブの方々といっしょにいったんですが、そのことで、改善をしてほしいと何度も県に申し入れるんですが、法律が整備されていないとか、条例がないとか、規則がないとかいって、そのことが改められないでいるんです。だから、県として条例がいるのではないかと質問させていただいたわけです。奈良というのは本当に自然環境が豊かなところです。けれども、今どんどん荒らされているということがあります。これからの将来、美しい自然環境を守ってゆくには条例が必要かと思います。条例でなくても、1歩、対策をすすめる考えはないのでしょうか。
大倉潔生活環境部長 水質環境保全条例、総合計画の策定を規定致しており、長野県もその計画をつくっております。本県は水環境条例とはうたっておりませんが、環境条例ということで、幅広く、水環境を含めて条例で規定をし、かつ計画をさだめることになっており、それに基づき総合計画を策定し、とりくんでいるところであり、ご理解をいただきたい。
田中美智子議員 なぜでは、三之公のああいう事態がくいとめられないのでしょうか。今の条例のなかで。お答えいただけるのならば、お願いします。
大倉潔生活環境部長 関係部局が連携をとりながら対応してゆくということであり、総合計画のなかで具体の事象をえげております。そういう取り組みを今後、総合計画に基づき展開をしてゆくということで、ご理解ください。
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