4.平城宮跡地下の高速道路トンネル計画について
山村さちほ議員 次に京奈和自動車道大和北ルートについて質問します。国土交通省は、京奈和自動車道の大和北ルート選定にあたって、平城京跡の地下を通るルートも視野に入れて、これまでボーリング調査などを実施し、地下水検討委員会を開いて、この3月1日には、最終シュミレーション結果を発表しました。
このなかで、地下に埋蔵する文化財に影響を与えない工法が可能であるとの報道がされています。世界遺産を守るために厳しい条約が定められ、その中で、たいへん具体的に「大規模な公共事業または、民間事業または急激な都市開発もしくは観光開発事業に起因する滅失の危険」が、たちむかうべき重大な特別な危険の2番目にあげられています。
また、今日までの道路建設などの公共事業の例をみれば、京都の地下鉄工事、滋賀県の三井寺の泉が涸れてしまった工事や、阪奈道路建設でも地下水が涸れた例、水越トンネルでは山頂でも地下水が涸れるという地下水への影響があります。万に1つの危険であっても100%大丈夫という保障のないことはすべきではありません。イラン中部の歴史都市、世界遺産のイスファハーンでは、中部広場の地下に高速道路トンネルを通す計画がありましたが、世界遺産委員会は1998年に撤回を勧告したと聞いています。
京奈和道地下ルートについても、世界遺産委員会から文化庁へ報告が求められています。文化庁からは「地下ルートにしぼるということになれば、地下水の変動など歴史遺産に影響がでるかどうか、どうなるかわからないことは、しないほうがよい」と国土交通省に伝えていると聞いています。
道路建設の根拠として経済効果や利便性が強調されますが、この場合、いくつかの代替案が可能です。しかし古都奈良の世界遺産は世界にただ一つしかなく、他に変えることのできないものであります。
現在、京奈道路は、一般有料道路のなかで全国で2番目の赤字路線であり、今後、莫大な工事費を投入しても採算の見通しもありません。県民の負担は計り知れないものがあります。21世紀の古都の役割と経済をどう考えて行くのか問われます。
高速道路を住宅密集地に通すことはさけるのが世界の流れです。排ガスや公害から市民の健康を守り、文化遺産、自然遺産を破壊から守ることこそ優先されるべきです。
これまで、1万3000人分の署名と申し入れ、各種学会19団体も平城京の上も下も高速道路を通さないでとの声をあげています。
京奈和自動車道大和北ルートは、現存道路の有効活用、適切な渋滞対策をすすめていくことで、必要ないと考えます。
そこで、土木部長にうかがいます。県として、国土交通省に対して平城京跡の上も下も、道路建設はさせないという意思表示をすべきだと考えますが、どうでしょうか。
教育長にうかがいます。文化財保護の立場から、世界遺産を守る責任があります。これまで、奈良市の文化財保護審議会が奈良市長あてに意見をあげ、県にも届けられています。また奈良文化財研究所の職員組合も中止を求めています。文化庁も「疑わしきは実施せず」こうした姿勢であると聞いてますが、平城京跡の自動車道の通過は中止されるよう、国にたいして主張すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
前田諭土木部長 京奈和自動車道は関西大環状道路の一部を形成するとともに、本県道路網の骨格となるきわめて重要な幹線道路です。京奈和自動車道全線が完成し、第2名神自動車道、西名阪自動車道や南阪奈道路などと連携することにより、有機的で効果的な自動車専用道路のネットワークが形成されることが肝要と認識しています。また奈良県内においても、県内の移動時間の短縮による「なら半日交通圏道路網構想」の実現や奈良県の経済発展、観光振興などにも大きく寄与するものと確信しており、大きな役割をになうものと期待をしております。
〈貴重な文化財、世界遺産を守る立場との関係について〉大和北道路は京奈和自動車道において、唯一基本計画が策定されていない区間であり、基本計画の早期の決定と、その整備が喫緊の課題と認識しております。大和北道路の計画の検討に際しては、古都奈良の自然環境や文化財等の調和に配慮しながらすすめられるものと認識しています。
〈高速道路は平城宮跡の地上も地下も通してはならないとの認識にたつべきということについて〉大和北道路は国道24号周辺を中心とした中央エリア、春日山周辺の山地部を中心とする東側エリア、奈良市、大和郡山市西部の西側エリアの3つのエリアを対象に、国土交通省において基本計画決定にむけて検討がおこなわれている段階と認識しております。特に、中央エリアでは地下水検討委員会の検討結果を踏まえつつ、道路建設における埋蔵文化財保護の観点からの配慮事項について文化財検討委員会を設置し、検討がすすめられるものと承知しています。国土交通省はこれらの検討結果を基礎資料として3つのエリアについて、今後も総合的かつ綿密に調査検討をすすめるとしており、関係する地方公共団体等の意見を把握すると伺っています。県としては早期に基本計画が決定されるよう働きかけて行くとともに、出来る限りの協力をしてゆくつもりです。
藤原昭教育長 〈道路建設と文化財保護について教育委員会としての考え〉平城宮跡につきましては国の特別史跡であり、平成10年12月には世界遺産として古都奈良の文化財に登録をされました。大和北道路は現在、国土交通省において3つのエリアを対象に基本計画の検討がすすめられていると聞いています。その中央エリアでは平城宮跡をはじめ多くの文化財が存在することから、国土交通省の地下水検討委員会の検討状況等をへて、埋蔵文化財の保護の観点から、その影響、配慮事項等について文化財検討委員会が設置され検討がすすめられると聞いています。今後、教育委員会としてはこの委員会の検討状況や文化庁の動向を見守ってまいりたいと考えています。
山村さちほ議員 京奈和自動車道のことでの土木部長の答弁では、必要性を説明をされて、まだ基本計画がないので早く国に要望するということですが、県民、国民が守ってきた平城宮跡を守る立場であるというところが、全くお話しのなかになかったと思いますけれども、すべて文化庁におあずけと聞こえました。その点、いかがでしょうか。
前田諭土木部長 文化財の保存との調和を図りながら検討がすすめていかれるものと、県としても認識をしており、そうした意見を国土交通省にも申してゆく考えです。
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